言葉の持つ力
昔と今では教育の仕方も違う
残念、、、。
2019年10月14日(月)、秋季東北高校野球大会において能代松陽が敗れ、秋田県勢は全て姿を消してしまいました。無念でなりません。
そんな私は今日、秋田市内で所用があり、応援に行くことはできませんでしたが、代わりに秋田市内で開かれた講演会に足を運びました。
元横浜高校野球部監督の渡辺元智(もとのり)氏の講演です。
渡辺元監督のことをよく知る方からすれば、私ごとき者が意見など”おこがましい”気もしますが、、、深く感じ入ったこともありますので、愚見を述べさせて頂きます。
渡辺元智(もとのり)氏。
横浜高校野球部部長・監督として、春夏通じ甲子園大会に29回出場、通算51勝、5回の全国制覇を成し遂げた、偉大なお方です。
愛甲選手や松坂大輔投手の話など、非常に興味深いお話も伺えたのですが、、私が最も印象深く感じたのは「教育の仕方」についてでした。
昔の部活動では、体罰などが当たり前のように行われていました。
私が高校時代まで続けた剣道にもありました。
しかし、今の世の中では体罰などは即、問題になるでしょう。行き過ぎた暴力などもってのほかです。
今の時代に生きる若者には、私のような中年世代が過去に味わった”常識”は通用しません。
彼らにとっては”非常識”です。
また、渡辺氏は、選手たちに与える「言葉」についても触れていました。
言葉は諸刃の剣
我々中年世代にとって、特にプロ野球界に詳しい人なら誰もが知っている愛甲猛氏。
愛甲選手は横浜高校で1年生ながら左腕エースとなり、甲子園に出場しますが、一時期問題を起こし、野球部を離れていました。渡辺氏は彼を野球部に復帰させるため、再びエースの座につけようとしますが、その時にエースナンバーを背負っていた別の選手がこれに反発。
今度はその選手が「それなら辞める。」となり、渡辺氏はご自身の与えた言葉をひどく反省されたそうです。
「悪かった。エースナンバーを背負うのはお前だ。」と。
その後、横浜高校は愛甲選手が3年生時に甲子園で優勝を果たしています。
渡辺氏は、選手に与える言葉の重要性をよく説いておられました。
これは野球に限らず、どのようなスポーツでも、果ては、職場における上司・部下の関係においても同様のことが言えると思います。
言葉は時に、体罰以上の暴力となりえます。
「お前は使えない、能無しだ。」
「そんなこともできないのか。」
そのような言葉の暴力で、選手や自分の部下が”やる気”を起こせるはずなどありません。
私自身も、過去に似たような経験をしました。
相手をひどく傷付けてしまった、、。彼は立ち直れないかもしれない。
ひどく反省しました。
その言葉を発したことで、互いに何の得があるだろう?
不用意な言葉を発した自分自身も、嫌な気持ちになります。
相手の誇りを奪う、プライドを傷付けるような言葉は互いにとって損です。
傷付いた本人は、しばらく精神的なダメージを背負い続けます。
ひどい場合は、生涯消えることのないトラウマとなります。
当然、そのような選手や部下は実力通りのパフォーマンスを発揮できません。
これは、子供に対する教育でも同じだと思います。
ーーーーーーーーーー
相手に与える言葉は「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」です。
相手を勇気づけることもあれば、相手の心を破壊することもあります。
言葉は選ばなければならない、と思います。
教育する側に立つのであれば、相手を「褒めて伸ばす」くらいで丁度いいと考えています。
私は、自分の子供に対してはそうありたい、と思っていますが、、それでも人間です。時に感情が言葉を支配する時があります。そして不用意な発言をした自分が嫌になります。
良好なコミュニケーションが良い結果につながる
今日の渡辺氏の講話を聴き、「言葉の持つ力」をあらためて感じました。
ボリュームの問題もありますので、講話の全内容をお伝えすることはできませんが、非常に深い、中身の濃い内容でした。渡辺氏のお人柄が伝わってくるようで、何度も頷きました。
やはり、選手に結果を出させる指導者というのは、普通の人にはない”何か”を持っているものだと思いました。
良い指導者にも、それぞれの特徴があるでしょうが、渡辺氏の指導・教育の仕方には感心しきりでした。
球児たちのことを考え、創意工夫し、自らどのような苦労をも背負う。時には球児と寝食を共にする。
そのような行動を通し、選手たちと”良好なコミュニケーション”を続けていたからこそ、成し遂げた偉業だと思います。
最近、球児が問題を起こす野球部には、そのような監督と選手との”コミュニケーション”が欠けているのではないか、とのご指摘にも納得しました。
自分の子供に対する教育にも、今日感じたこと、学んだことを生かしていきたいと思いました。
とにかく「褒めて伸ばす」。
先日、ニュース記事で読んだ、ある少年クラブチームのことを思い出します。
「よし!よく振った!」
空振り三振した子供に対する言葉です。
子供たちが野球を楽しいと思えるような、、「もっと頑張ろう。」と思えるような、、我々親世代の在り方、雰囲気作りも大事だと思うようになりました。