”神風”を呼び込んだ金足農業の奇跡 | 高校球児たちのあしあと
”球児の数だけドラマがある。”

”神風”を呼び込んだ金足農業の奇跡

2020年4月16日

作り物ではない”ドラマ”に惹き込まれる

こんにちは、REIYAです。

2019年も間もなく終わりを迎える12月27日(金)。

今回は、「なぜ人々は高校野球に魅了されるのか?」というテーマで私見を述べたいと思います。

ズバリ結論から申しますと、、

「そこにドラマがあるから。」です。

さらに言えば、、

決して作り出せない、予測できない感動が生まれるから。

これに尽きると、私は思います。

予測できない展開が起きる。

まさかと思うようなミラクルが起きる。

下手なドラマや映画作品を観るよりも、よっぽど人々に感動を与えてくれるもの。

それが高校野球ではないでしょうか。

そして、最近の例で言いますと、昨夏の金足農業の甲子園での躍進

今現在、これを超える感動はなかなか生まれていないと、私は思います。

そこで、あれほどまでに人々を魅了した、金足農業ナインの奮闘、特にその”ターニングポイント(きっかけ)”となった横浜戦を題材として振り返りたいと思います。

 

秋田県勢が甲子園で勝ち上がるために必要な条件

2018年夏。

金足農業が甲子園出場を決め、吉田投手の成長を目の当たりにした自分は”ひそかに期待”していました。

「今年はある程度、勝ち上がってくれるのではないか。」と。

今回のテーマである、”感動の源泉”に触れる前に、少しだけ脱線させて下さい。

高校野球に関して、特に郷土の秋田県勢に関して、私には昔から持論があります。

(野球素人の私見ですよ。)

1.秋田県勢は全国の強豪校を相手に、大量得点を奪うのは難しい。

2.相手チームを3点以内に抑えられるピッチャーがいれば勝機はある。

すなわち、相手チームを3点以内に抑えるか、仮に3点を奪われても4点までなら秋田県勢にも得点できる可能性は十分にある。(4点以上奪えれば勝てる。)

逆に言えば、4点以上奪われるピッチャーでは、勝ち上がるのは難しい。

、、という、なんとも極端な持論です。

具体性を高めるために、ここ最近、秋田県勢が甲子園で勝ち上がった例を以下に。

【2011年】

能代商業 保坂祐樹投手

1回戦 対 神村学園(鹿児島) 5-3

2回戦 対 英明(香川) 2-0 (完封)

3回戦 対 如水館(広島) 2-3x (延長12回サヨナラ)

【2015年】

秋田商業 成田翔投手

(2回戦からの登場)

2回戦 対 龍谷(佐賀) 3-1

3回戦 対 健大高崎(群馬) 4-3(延長10回)

準々決勝 対 仙台育英(宮城) 3-6

【2018年】

金足農業 吉田輝星投手

1回戦 対 鹿児島実業(鹿児島) 5-1

2回戦 対 大垣日大(岐阜) 6-3

3回戦 対 横浜(南神奈川) 5-4

準々決勝 対 近江(滋賀) 3-2

準決勝 対 日大三高(西東京) 2-1

決勝 対 大阪桐蔭(北大阪) 2-13

 

、、いかがでしょうか。

もちろん、もっと過去を探れば、秋田県勢で二桁得点を奪っている試合もあります。

ですが、ここ最近の傾向でいえば、秋田県勢が勝っている試合はいずれも、おおよそ相手チームの得点を3点以内に抑え、それ以上の点数を奪って勝ち上がっています。

そして、昨夏の吉田投手の成長ぶりを見て、「彼なら2ケタ奪三振をもぎとり、相手を3点以内に抑えてくれるかも。」という期待を寄せていました。

 

”神風(かみかぜ)”を呼び込んだ金足農業の奇跡

さて、上記の秋田県勢の成績を見て、気付くことはないでしょうか?

私の、「極めて極端な持論」に当てはめますと、ただ一つ、例外があります。

それが昨夏の甲子園3回戦、金足農業 vs 横浜 です。

上に挙げた3年分の記録の中では唯一、4点以上奪われているにもかかわらず、勝利しています。

「そんなの結果論じゃないか。1回戦、2回戦だって5,6点も奪ってるし。」

という声が聞こえてきそうですが、、(笑)

1回戦では鹿児島実業、2回戦では大垣日大

並みいる強豪校に勝ち、3回戦へ。

しかし、さすがに横浜が相手となると、正直厳しいだろうなとは思っていました。

「何とか横浜打線を3点以内に抑えてくれ。吉田君。」

そんな、祈るような気持ちでテレビを眺めていました。

ですが、試合は8回表まで終わって4-2

すでに4点を奪われていました。

しかも終盤の8回。

「さすがに、もうダメかもしれない、、。」

もちろん郷土の秋田県勢、金足農業を最後まで応援する気持ちはありましたが、その一方で冷静な観測が働いていたのも事実です。

「ここ最近、4点以上奪われて勝てた試合はないからなぁ、、。」

しかし、奇跡が起きました

あるいは、当時のニュース等ですでに知っている方もいらっしゃるでしょう。

それが、”神風”とも呼ぶべき秋の強い風でした。

この8回裏の顛末は、皆さんもご存知の通り、6番髙橋祐輔選手の逆転3ラン

振り返れば、この日は「風が味方した」とも言える、少し異例の気候。

以下の写真をご覧ください。

これはGoogleマップの航空写真図です。

少し見づらいかもしれませんが、右上にある甲子園球場。

夏の甲子園大会が行われるこの時期は、通常、南の海面から吹く”はまかぜ”の影響により、球場付近の風はライトからレフト方向へ、もっと極端にいうと、外野方向から打球を押し戻すような風が吹くことが多いようです。

しかしながら、、

この日だけは”異例”ともいえる北からの風

すなわち、、

バックネット側から外野方向に強い風が吹いていました。

当然、打球を高く上げれば上げるほど、風の勢いを借りて飛距離は伸びます。

この北からの風がこの試合の行方に多大な影響を及ぼしていました。

まず、1回表。

横浜の先頭打者、山崎拳登選手の打球はライト方向へ。

平凡なライトフライかと思われる打球でしたが、意外なほど伸び、ライト菊地彪吾選手の頭上を越え、タイムリースリーベース。

これが横浜の先制点のきっかけとなりました。

そして3回裏、金足農業の攻撃。

2死ランナーなしで、バッターは2番の佐々木大夢選手。

打った打球はライトへ。

横浜のライト、河原木皇太選手が追いつくかに思われましたが、この時も打球は思いのほか伸び、河原木選手は思わずボールを追いかけて転倒するほど。

スリーベースヒットになります。

明らかにです。

そしてバッターは3番、吉田輝星選手。

打った打球はセンターへ。

この時に”神風”が。

横浜のセンター、万波中正選手がフェンス際でジャンピングキャッチするかに見えましたが、ボールは彼の頭上を越え、スタンドイン。同点の2ランでした。

さらに8回裏。

先頭の吉田選手、4番の打川選手が連続ヒットでノーアウト1,2塁。

金足農業の常とう手段として、5番の大友選手は送りバントへ。

しかしバントを打ち上げてしまい、送りバント失敗。

ここで中泉監督は攻撃の手を”切り替えた”そうです。

思い切り振れ。」と。

ここでも”神風”が金足農業に味方しました。

6番髙橋祐輔選手が初球を渾身のスイング!!

打球は風に乗り、センターフェンス後方に吸い込まれました。

この日の金足農業の得点はいずれも、センター方向へのホームラン。

まるで金足農業が、この日のために呼び込んだとも言いたくなるようなでした。

 

”感動”はいつも予期せぬところからやってくる

もし、この日に北からの風が吹いていなかったら、、。

あるいは2本のホームランは生まれなかったかもしれません。

4点を奪われ、私自身も、少しあきらめかけていた試合をひっくり返してくれた髙橋選手の意地

金足農業の”粘り強さ”

「風が味方しただけ。」

そんなふうに言うことは簡単です。

しかし、あそこまで打球を飛ばすことができなければ、、

強気のヒッティングがなければ、、

あの勝利は得られなかったでしょう。

そういう球児の姿勢こそが”感動の源泉”だと思います。

このような奇跡を呼び起こすことが、球児たちの可能性であり、我々見ている高校野球ファンが魅了される理由ではないでしょうか。

この横浜戦の勝利を境に、秋田県人の金足農業に対する期待も俄然高まりました。

熱狂が生まれ、全国に金足農業の名前を響かせたと思います。

あれほど、劇的な勝利を観るのは、本当に久しぶりでした。

これだから、高校野球はやめられない。

この先も、球児たちに多くの感動を頂きたいと思います。