近江ブルーが帰ってくる!

2020年4月1日

あの2ランスクイズから1年、、。

高校野球ファンの皆様もすでにご存じの通り、今年の滋賀大会決勝では近江高校が接戦をものにし、甲子園への切符を手に入れました。

昨夏Vの大阪桐蔭、昨夏準Vの金足農業が地方大会で敗れる中、昨夏8強の近江が再び聖地へ。

滋賀大会で優勝を決めた近江バッテリーの姿をネットで見た時、昨夏のあの場面、金足農業にサヨナラ2ランスクイズを決められた試合を思い出しました。

いや、正確にはずっとあの試合を観返していました。

そこで、もう一度あの試合を振り返り、林-有馬バッテリーの当時の姿を記事にしたいと思ったのです。

1年前の準々決勝、近江vs金足農業の試合を(一部カットしながら)振り返ります。

昨夏から存在感を放っていた林、有馬

甲子園 準々決勝戦 近江vs金足農業

先日の3回戦、劇的な逆転3ランと吉田の巧みな投球術で強豪・横浜を下した金足農業。

ザワつき始めた秋田県民が見守る中、準々決勝の相手は滋賀代表・近江高校。

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近江の先攻で始まったこの試合。

1回表。

1番木村の打ち上げた打球はショート後方。

内外野の間へ落ちるかと思われましたが、ショート斎藤が後方へ走りながらダイビングキャッチ! 『オォーッ。』甲子園がどよめきます。 吉田も思わず笑顔。1死。

2番土田。(今年の滋賀大会決勝では1番ショート。

吉田の直球を捉えた打球はセンターへ。やや危うげな大友のキャッチングにまたしても甲子園にどよめきが。 大友も苦笑い。 2死。

3番家田。吉田が外角球を振らせて三振。 3死。

 

1回裏。近江の先発は佐合(さごう)。

1番菅原はセカンドゴロ。1死。

2番佐々木は三振。2死。

3番吉田。1塁線ギリギリのゴロ。切れるかと思われましたが吉田はお構いなしに全力疾走。内野安打に。再び甲子園にどよめきが。この日は序盤から金足農業のペースに観衆も引き込まれていたように思われます。

4番打川。1,2塁間を抜けるヒット。2死1,2塁。

5番大友。セカンドゴロで3死。こちらも得点ならず。

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3回表。

近江は9番瀬川から。空振り三振。1死。

1番木村。これまた三振で4つ目。2死。

2番土田。ストレートで空振り三振。5つ目で3死。この回は全て三振。

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4回表。

近江は3番家田。セカンドゴロでしたが、菅原がボールをつかみ損ね、内野安打。 無死1塁。

4番北村。ライトフライへ。1死1塁。

5番有馬。(今年の滋賀大会決勝では4番。

初球で送りバントをきっちり決め、2死2塁。

6番住谷。(今年の滋賀大会決勝では3番。)この金農戦では最も当たっていました。

近江スタンドからは耳に残る応援歌、『ファイヤーボール』が。

フルカウントの末、吉田の直球を捉え、打球はライト線へ。

先制のタイムリーツーベース! 

近江 1-0 金足農業

続く7番山田はセンターフライで3死。

 

4回裏。金足農業の攻撃。

4番打川から。

セカンドゴロですが、セカンドが弾いて打川は出塁。無死1塁。

5番大友。

フルカウントから送りバント。捕ったピッチャー佐合は2塁へ!

しかしワンバウンドの悪送球で2塁もセーフ。無死1,2塁。

6番髙橋もバントの構え。

送りバント成功で1死2,3塁。

7番菊地彪吾もバントの構え。

しかし結局ファーストフライを打ち上げ、2死2,3塁。

8番菊地亮太。

1塁線ギリギリのファーストゴロで3死。得点ならず。

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5回裏。金足農業の攻撃。

この回で近江はピッチャーを背番号18の林へ。(今年の滋賀大会決勝で5安打完封。

金足農業は9番斎藤から。

大きく曲がるカーブ、チェンジアップなどを織り交ぜて斎藤を空振り三振に。1死。

続く1番菅原は右中間へタイムリースリーベース! 1死3塁。

2番佐々木。

スクイズを試みるも、打ち上げてしまい、フライに。

キャッチャー有馬がダイビング。わずかに届かず、ファウル。

そうです、この回から林-有馬のバッテリーは金足農業に対峙していました。

佐々木は再度スクイズ。ピッチャー林の前にころがり、林が有馬にグラブトス。

しかし菅原のヘッドスライディングでスクイズ成功。 

近江 1-1 金足農業

有馬は1塁に送球。2死。

3番吉田。相変わらず切れのあるカーブで吉田も振らされます。

ライト前に落とし、出塁。2死1塁。

4番打川。

センターフライで3死。

6回表。近江の攻撃。

近江は好打順。2番土田から。

サード横を抜けるタイムリーツーベース。無死2塁。

3番家田は送りバント成功で1死3塁。

4番北村。

三遊間を抜けるヒットで勝ち越し。 

近江 2-1 金足農業

5番有馬。

ピッチャー前にバントを打ち上げてしまいますが、有馬が走塁を半ばあきらめたのを見た吉田はわざと落とし、セカンドへ送球! ダブルプレーで3死。

素晴らしい好判断!好プレー。吉田投手はこのあたりのフィールディングも長けていました。

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7回裏、1点を追う金足農業の攻撃。

8番菊地亮太から。

セカンドゴロで1死。

9番斎藤。

レフト前の微妙な位置に飛びましたが、レフト住谷の好ダイビングで2死。

1番菅原。セカンドゴロで3死。

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8回裏。金足農業の攻撃。

2番佐々木から。

ライト前にはじき返し、無死1塁。

3番吉田。

ファーストゴロで吉田はアウト。その間に佐々木は2塁へ。1死2塁。

1打同点のチャンスで4番打川へ。

振りぬいた打球は大きくセンターへ。甲子園の観衆がどよめきます。

しかしフェンス間際でセンターがキャッチ。佐々木はすかさずタッチアップで3塁へ。

2死3塁。チャンスは続きます。

5番大友。

金足農業の応援スタンドからは『タイガーラグ』が。

しかし林の大きく曲がるカーブで空振り三振。林はガッツポーズ。

対峙するバッターにとってはストライクに見えるのでしょう。有馬のグラブに収まるボールは完全に地面スレスレのボール球。見事な投球です。今年も見どころですね。

 

9回表。近江最後の攻撃。

5番有馬。

ライト前ヒットで無死1塁。

6番、当たりのいい住谷。

レフト前ヒットで無死1,2塁。

ここで近江の応援スタンドからはチャンステーマ、『ファイヤーボール』が。

♪今日の主役はどこですか~ 

♪近江高校!

♪チャンスを掴むのどこですか~ 

♪近江高校!

♪勝負に勝つのはどこですか~ 

♪近江高校!

優勝するのはどこですか~ 

♪近江高校!

...リズミカルな節で、何とも耳に残る応援です。

今年も甲子園に響くことを考えると、楽しみです。

打席には途中から守備に入っていた7番見市。(今年の滋賀大会決勝では2番。

吉田の直球はストライクコースギリギリに入り、見逃し三振。1死1,2塁。

8番林。送りバントの構え。

ピッチャー前に転がした打球を吉田はこれまた好フィールディングで三塁へ!

フォースアウトで2死1,2塁。吉田投手のファインプレー。本当に見事です。

9番瀬川。

吉田は10個目の三振で打ち取り、3死。ピンチを切り抜けます。

 

いよいよ、金足農業最後の攻撃。9回裏へ。

このあたりの顛末はもう皆さんご存知かと思われますが、あらためて、、。

6番髙橋から。

髙橋が打席に入ると甲子園全体から拍手が。

と同時に金足農業の応援スタンドからは『Gフレア』が。

髙橋の鋭い当たりは三遊間を抜けるヒット。無死1塁。

続く7番菊地彪吾はバントの構え。

しかし途中からヒッティングに切り換え。

うまくレフト前に運んで無死1,2塁。

8番菊地亮太。

送りバントの構え。

林の高めに浮いた球をキャッチャー有馬はすかさず2塁へ。虚を突かれた2塁走者髙橋でしたが、かろうじてセーフ。有馬のプレーが光っていました。

結局、フォアボールを与えてしまい、無死満塁。

9番斎藤。

ここでキャッチャー有馬は単独で林の元へ。

この場面はひどく印象的でした。

同じ2年生同士のバッテリー。二人は笑顔で言葉を交わしていました。

斎藤もバントの構え。

カウント1-1からの3球目。

斎藤が待っていたボール。スクイズを決め、3塁ランナー高橋がホームインで同点。

サードが1塁に送球する間に2塁ランナー菊地彪後もホームへ駆け込む!

1塁からの返球をすかさず有馬は、ヘッドスライディングで飛び込む菊地彪吾にタッチ。

しかし菊地のホームインが早く、2ランスクイズ成功!!

近江 2-3 金足農業

 

...両手を両ひざに当て、しばし呆然とする林。

キャッチャー有馬は、ホームでのクロスプレーで倒れこんだ姿勢のまま、動きません。

両肩を震わせて悔し泣きをしていました。

劇的な逆転サヨナラ勝ちを決め、ホームベース付近で歓喜に沸く金農メンバー。

その脇で、いまだ地面にうつ伏している有馬を金農キャプテン佐々木が抱き起こす。

すごく感動的な場面でした。

しばらく茫然としていた林も、やがて涙が込み上げてきたのか、顔を抑え最後の整列へ。

仲間たちに抱き抱えられた有馬も涙と土で汚れた顔を上げ、整列へ。

金農の選手たちと握手を交わしたのち、ベンチへ引き上げる近江の選手たち。

顔をくしゃくしゃに泣きながらベンチに戻る林投手を見て、『2年生だし、また来年もこの場に戻ってくるんだろうな。』と当時は漠然と思ってましたが、こうしてあらためて近江高校の甲子園出場が決まったということを知ると、この金足農業に敗れた試合をフィードバックせずにはいられませんでした。

 

土と涙で汚れた顔の有馬捕手と、涙をこらえきれない林投手。

全力で校歌を歌う金足農業をベンチ前で見つめる二人の、その顔をこの1年間、忘れることはありませんでした。

なぜなら、昨夏の甲子園大会ではこの試合が最も印象深く、何度も繰り返し、観返していたからです。特に9回の最後の攻防の場面は。何度も何度も。

同じような気持ちを持っていた方も多いのではないでしょうか。

仲間たちに肩を抱かれながら退場する林投手と有馬捕手。

ずっと泣きとおしでした。

 

今年も活躍が楽しみな近江メンバー

滋賀大会決勝では、同様にスクイズを決められそうになる場面があったそうですが、落ち着いて阻止したようです。

この1年間、どれだけ辛く苦しかったことでしょう。

林投手は通算26イニングで無失点。完全なるエースとして甲子園に帰ってきます。

写真を見ると、去年よりだいぶ大人びて見え、風格も増したように。

去年の甲子園メンバー、土田、住谷、見市、そして有馬とともに再び聖地へ。

今年の甲子園でも間違いなく注目校ですね。

個人的には秋田中央と対戦してほしいところです。

甲子園に『ファイヤーボール』が流れるのを楽しみにしています。